少女ポット解剖ショー

雪国の女子高校生¦考えない葦はただの葦¦日照時間が少ない時期は鬱々

Shit sin

夜、布団の中で眠れないままいると、たまにゆうすけくんのことを思い出す。

私の幼少期の醜い一部分だ。

ゆうすけくんは正直言ってぱっとしない子だった。

小学生にしては背が高かったし皆を笑わせるのがうまかったけど、それ以外は特に評価するところはなかった。

それに、ぜんまいざむらいに出てくるおなら仙人に激似だった。

眉毛の垂れ下がった感じとか。本人に言ったらしばらく口をきいて貰えなくなったけどね。

 

ところで、あなたも多分そうだったと思うけど、小学生は何故か全員朝顔を育てさせられる。

私はヒヤシンスとかが良かったんだけど誰も何も反論しないから私も黙って朝顔を育てたよ。

種の入った袋の中が異様に臭くて何回も嗅いではニマニマしたものだった。

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毎日水をやると朝顔はすくすく育ち、あっという間に根が張りツルがニョキニョキになった。中には、おばあちゃんに貰った万田酵素をかけて、プランターの中を白亜紀みたいにするというチートをかましてきた子もいたよ。

 

ともかく、まあ、観察日記を付けねばなるまい。

私は小学生にしては絵が得意で、周りからもよく褒められる子供だった。だからそのときも一枚の葉っぱにクーピーを何色も使って綺麗に綺麗に描いた。

周りの大人も子供も皆褒めてくれた。上手だって。色遣いの才能があるって。

 

でも、もりたさんだけは何も言ってくれなかった。

もりたさんは学校で働く用務員のおじさんで、虫や機械に詳しいし、何でもできるもんだから子供たちの尊敬を一身に集めていた男だった。

ももりたさんの事が大好きだったから、皆に褒められた絵を見せに走ってったのに。

「うーん。駄目だな。違う。」

そう言ってもりたさんはみんなの絵を見だした。

目が留まったのはゆうすけくんの絵だった。

「うめぇもんだなぁ」

もりたさんは感心したよう呟いてた。

それもとってつけた感じじゃなくて思わず漏れ出た感じで。

それは私が死ぬほどほしかった言葉だった。

ゆうすけくんの絵は私のとは正反対という感じで、色使いとかじゃなくて、もうただひたすらに死ぬほど精密だった。

下手だったけど。

絶対私の方が上手かったけど。

もりたさんは技師の方の人だからそういう絵の方が好きだったんだろうね。

もりたさんは嘘がつけない人だったから、私がいくら「どう?」って聞いても決して褒めてくれることはなかった。

 

そのあと私はゆうすけくんの事が大っ嫌いになったし、あんまり関わらないようになった。

今ならあれは「嫉妬」だったんだろうなって分かる。

悪いことしたな。

元気かな。

多分あれが私の人生初の嫉妬心だったと思う。

周りを見てて気づいたけど、私は嫉妬心が強い方でらしくて生きてるだけで疲れるよ。でももう大きくなったから、私より絵がうまいあの子とも、五教科の平均点が九十点台のあの子とも毎日笑顔でお喋りできます。

大人になるってこういうことだよね!